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「歩が思ってるほど、会長は理解ある父親じゃないの」
「あのクソじじい、まだ剣持を信用してんの?」
「…クソじじいって」
そう言いながら冴子が笑い始める。
それにどこかでホッとしつつ、俺は話を続けた。
「いいわ、アタシが剣持の素行調査でもしてあげるわよ。
それで報告書でもまとめて、クソじじいに叩きつけてやるわ」
「そんな事したら歩はそこから昇進出来ないわよ」
「全然かまわないわよ」
この会社に古くから根付く派閥抗争は俺も知っている。
けれど出世やら将来やらに興味のない俺にしてみたらどうでもいい事なだけに、社長だろうと専務だろうと敵に回したって屁でもない。
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