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けれど気づいた時には冴子に恋をしていた。
俺にしてみたらたぶん…それは初恋だったのかもしれない。
しかし、唯一の親友だった龍都から冴子を好きになってしまったと打ち明けられた時、俺は黙って身を引いた。
まさかあの時と同じ苦しみをまた味わうことになるなんて思いもしなかったけれど、これで良かったのだと己に言い聞かせる。
「ねぇ冴子、冗談抜きに剣持のやってることを会長に全部伝えたら、あなたの旦那はどうなるのかしらね」
「たぶん…父は許さないでしょうね」
まだ冴子は俺が彼女をあの剣持から自由にするためにこの会社の株を集めていることには気づいていない。
しかし、たかが部長職の俺ごときがどれだけ株を集めた所で所詮は非力だ。
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