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「ビールは飲んじゃうよ」
「お好きにどうぞ」
笑いながら言って友哉は背中を向けると、そのまま非常階段を降りて行った。
歯ブラシに新品のシャツなんて……まるで彼女の家に泊まりに来たみたいなグッズじゃん。
それに虚しさを感じながら、私は自分の部屋に戻る。
いつまで私と友哉はこんな関係を続けて行くのだろう。
だけど楠田部長がもしもこの関係に気づいたら、あの人はなんて言うかな。
もっと自分を大切にしなさいって叱ってくれるかな。
熟睡してる映見を横目に、友哉の歯ブラシとシャツをクローゼットにしまう。
このグッズが……使われることがないままに私と友哉の終わりが来るなんて思いもせずに───。
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