Act.1

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とは言っても、倉庫の中のフォークマン皆さんや在庫管理部長たちはまだ仕事は終わらない。 倉庫内には賑やかにフォークリフトが行きかう音が響いている。 「向坂(さきさか)部長、お先に失礼します! 事務所の鍵は締めておきましたので確認だけお願いします」 「あ、阿部さんお疲れ様! 雨が強いから気を付けて帰りなよー」 「ありがとうございます!」 在庫管理部の向坂部長と挨拶を交わした私はターミナル沿いを歩いて駐車場の方へと向かった。 3時半頃から降り始めた雨は、雨足が弱くなるどころか更に激しさを増し、空にはピカピカと稲妻がほとばしる。 こんなに激しい雨になるなんて想像もしていなかっただけに、傘も車の中に入れっぱなしだ。 「よし、一気にダッシュだ」 自分にそう言い聞かせ、私は覚悟を決めてターミナルの最端から一気に駆け出した。
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