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すると彼は、返事もないままに外し終えたラッシングを荷台に片付けている。
「あのっ! こんなお礼しか出来なくて本当に申し訳ないとは思うんですけどっ……」
「…………」
追いかけながらもう一度、申し出てみるけれど、やっぱり彼は無言のままトラックのドアを開け運転席へと登って行く。
そしてシートに腰かけタオルで髪を拭くと、ようやく言葉を放った。
「たまたま通っただけだし、お礼とかいらないから。
その分、今度は誰かが困っていた時にアンタが助けてやればいい」
「でもっ……じゃあせめてお名前だけでも……」
「…………」
いつしか小雨に変わった雨は私の傘をポツポツと緩く叩く。
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