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見上げていた運転席の彼は、傘にたまった水滴がポトリと落ちた瞬間呟いた。
「名前とか知っても意味ないだろ」
「でもっ!」
言いかけた私の声は、彼が閉じた運転席のドアで遮られる。
そして彼はハンドルを左に切ると、その場からトラックを発進させた。
立ち尽くす私の横をトラックの荷台が通り過ぎて行く。
けれど慌てて振り返った私の目に映ったのは、暗闇の中に光るトラックのテールランプの羅列。
後部の観音扉の下に、10連ものテールランプが光を放ちその上には行燈に照らされた文字が浮かんでいる。
『義勇任侠』
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