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言葉に出せない思いを彼の背中に回した腕に力を込めて訴えれば、全てわかっているとでも言わんばかりに誠也は唇を解放した。
「俺が愛してるのは遥香だけだよ」
「嘘つき」
「ふはっ」
小さく笑った誠也が激しく揺さぶり始め、やがて私の中であっけなく果てた。
また今日も……高みを見れないまま私の身体は冷めない熱を心の奥底にしまい込むしかない。
だけどこれが二十七歳になる、私の現実。
かつての恋人と共に堕ちて行く先にあるのは、いったい何なのだろう。
先がありそうで、ない関係。
それに虚しさを感じていても、私はこの身体から離れる勇気が持てずにいた……。
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