その男名高敦郎

4/26

69人が本棚に入れています
本棚に追加
/709ページ
思えない 何も起こらないのが返って恐ろしい」 彼女はテーブルの上に通帳と印鑑を出した 「なんだこれは」 「全部使って」 「だってこれはお前が独身時代に」 妻は両手で机を叩いた 「そんな事言ってる時じゃないでしょ 沙羅に何かあったらどうするの」 彼の心を恐怖が一度に支配した 彼は言った 「わかったすぐやる でこの霊能者は頼りになるのか?」 「そのはずよ」 「口コミか」 「2ちゃんねるよ」 「2ちゃんねる?」 「テレビや雑誌の方が当てになると思ってるの? 私は何日もかけていろんなサイトに出向いたの 相談もあっちこっちに出した その多くの人がこの人は本物だって」 彼は初めてメモを見た そこには名高敦郎と言う名前と連絡先とHPが書いてあった 彼は声を上げた 「名高、名高敦郎?」 「知ってるの?」 「ああ、本当にこの男をみんな推薦してるのか?」 「そうだけど」 彼の大学時代の知人に名高と言う男がいた 同学年が彼より4つも年上だった ハーフのような彫り深の美男子で神秘的な感じがする男だった その上近未来を的確に予言するとか言われていて
/709ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加