その男名高敦郎

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しかし俺はそれを読んでも、まだ戦う勇気が湧かなかった 敵の悪霊が怖いと言うより、自分が何者であるか認めるのが怖かった 天命を受け入れるのが怖かった もっといい方を変えるとしたら娑婆に未練たっぷりだった この戦いをしたら、俺は人間では無くなるような気がしたんだ しかしその一方で俺には内なる衝動があった その衝動のおもむくまま俺はその村に行った 村は悪霊にやられて壊滅状態で人の気配冴えなかった 俺が村についたのは夜明けから朝にかけてだったが、それでも人の気配は俺は感じる事が出来る ここは死滅した 俺はそう思った そして何故か肩の荷が下りた 陰陽師としては、とんでもない無責任だが、この悪霊が大昔に、この地で恨みを持ち悪霊化した霊、つまり怨霊で、術により封印されていたのが封印が解けて復活したと言うのを親父の資料から知っていたので、ここが死に絶えた事で、もう意味がないと思ったのだ そしてそれは天命に従わずすむと言う安心感だった もちろん、この村の地を継ぐ者は呪われ続けるだろうが、それは別の話だと俺は割り切るつもりだった 俺は冷たく割り切り帰ろうとした その時だった 俺は懐中電灯の光を浴びた
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