その男名高敦郎

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息子の幸せを望みながらあえて戦場に追いやる親父の責任感と使命感、親父の思いを知りながら息子を守るため遺言を隠して、その罪悪感から自ら死を選んだ母性愛 そして今尽きていく我が子に継がせようとする若い母親の儚く強い思い 臆病な俺の中の『人間』が目覚めた もう、俺はこの女を見殺しには出来なかった 俺は遂に悪霊に立ち向かった 何度も十メートル近い高さから地面に叩きつけられ俺の五体はバラバラになりそうになった しかし奴がどんなに頑張っても俺の体を親父のようにはねじ曲げられなかった。 その内奴も邪気を使い果たし、再び邪気を吸い込み始めた その時だった 俺が握りしめていた独古が俺の手をすっと抜けて宙に浮いた 光輝き始めた独古は周りの邪気を吸い込み始めた そしてその気は浄化され俺の中に入って来た 親父が感じていた俺の中に眠る霊本体の力、神の力を呪文で借りる法力とは別種の力観音力だった 俺に邪気を吸い取られた悪霊は自分の力を回復する事が出来ず、苛立ち俺に襲いかかって来た 俺は自分の体に満ちた気を一度に奴にぶつけた
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