その男名高敦郎

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自分がこの事件を記憶から消しさるのには都合がいい だからあえて、名前を調べないんじゃないか 名前がわからなければ供養してやる気持ちもあるわけはない 君がやってる事は、名無しの権兵衛さん、どうぞお許し下さいなんだぞ それで詫びてるつもりか」 「じゃあ教えて下さい あなたにはお見通しの筈だ なんでもったえつけるんですか」 「それが誠意がないと言うんだ 君は彼の名前を特定するため、いや特定その物を拒否したし 今だって面倒くさがって私の力を頼っている 君はとにかくこの問題を早く片付け平穏な生活に戻りたい それしか考えていない」 彼はずばり本音を言われてしまい反論出来なかった 名高は言った 「まず知恵を絞って、彼の名前を調べたまえ、成仏してもらうには、まず霊に話を聞いてもらわなければならない」 「しかしそんな困難な事している間に妻や娘に何かあったら」 「当分は大丈夫だ 彼は君や君の家族に攻撃するほどの敵意 を持っていない しかし時間が経つとわからないぞ ストーカーだって最初は片思いや憧れだからな 感情と言うのは変化するもんだ とにかくまず名前を調べるんだ
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