その男名高敦郎

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タクシーに逃げられた。 辺りが暗かった事もあり、彼はどこにいるか判別出来る目標を見つけられなかった また帰りは逃げ帰るように帰ったし、証拠を消すためタクシーを乗り換えたため、ますますどこに行ったかわからなくなったのだ 彼はそれでも考えてみた 彼の記憶によるとタクシーの料金が一万円ぐらいだったのを覚えていたので彼はとにかく乗った場所から一万円を乗ってみた。 しかし目的とする風景には出合わなかった こんな事してたら金と時間の無駄だけだ 彼は落ち込んで言った しかし霊現象や悪夢に見まわれないと言うのは家庭的にはありがたかった 妻はどんどん明るさと元気を取り戻して行った ある日寝物語で妻が言った 「ねえ名高って言う人すごいのね」 「(確かに凄い、頭がおかしいとしか思えない)」 どうやら彼の妻は名高が除霊してくれたと勘違いしているようだ 『女は単純でいいな』 だが彼は事実を妻に話す気はなかった 名高に言わせれば中年男の霊が心変わり、つまり突然切れちゃうまで、この平穏は続くのだ なら真実より偽りの方がましだ 心労は自分一人で十分だ。 彼は休日になると妻子に嘘を言って
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