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突き刺して、ポケットから薬を出すと飲みこんだあと怒鳴った
「もらった物は今すぐ返して来い
全部だ
早く行け」
一方彼は少し気分が良かった
絶対絶命の危機を何とか自分で乗りきったと勘違いしたからだ
元来技術屋であり、他人との交渉ごとがあまり得意でない彼が頭の切れそうな警察官相手に嘘八百を並べ立てて乗りきったと思っているのだから、何とも言えない勝利感と達成感だった
彼はあの場所に戻った
花束の前で彼は思った
『一体誰にどうして殺されたんだろう』
彼は拝んだ
「こうしてはいられない
考えてみれば状況は良くなったわけじゃない
しかし何とか急いで男の名前を調べなければ、せめて写真さえあれば聞き込みも楽なのに
待てよ、あの人昔この町に住んだ事あると言ったな
娘は聡明で美人だと言ってたな
と言う事は奥さんも美人と言う事だろう
あんな風采の上がらない男が美人の妻と娘を持っていればミスマッチ過ぎて目立つに決まってる
古い住民に聞き込めば必ず知ってる人がいるはずだ」
その時声がした
「あの~もし」
彼は振り向いた
そこにはまばゆいほど美しい女性が立っていた
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