屋根裏の本

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彼は変にときめいてる自分が許せなかった 『この俺がときめくなんてありえない 波乱万丈は俺には似合わん』 車は予定通り目的地についた その場所で愛実は手を上げていた 『おい、ここは人が殺された場所だぞ しかし今日はフリルのついた白いワンピースか 少し胸のカットが大胆すぎるな』 彼は少し見とれている自分を知った 彼は車を降りた 愛美は言った 「ちょっと遅かったですよ」 「スムーズに来たつもりだったが」 「あら年代物の車」 「そろそろ買い換えようと思ってる」 「今度もワゴン車がいいですよ 私もワゴン車が好き ちょっと乗っていい?」 「ああどうぞ」 彼はドアを開けた 愛美が彼の前を通り過ぎるといい香りがした 甘酸っぱい清楚な花のような匂いだった 愛美はCDの横のケースを見た 「あっユーミン見つけ、真冬のサーフィン?これ映画の」 「そうそう、初めて女房とデートした時見た、オシャレな映画だったな、あいつまだ中学で かけてみるか?」 愛美は不機嫌になり、車から出た 愛美は言った 「行きましょう、遅くなるから」 彼は首を傾げながら愛美を追った
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