屋根裏の本

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それで我々マスコミ有志は、匿名について問題がないか調べてるんですよ 特にこの連続事件はですね、実名の報道がが急に匿名になったり」 彼は立ちどまった 「ちょっと待て 君は警察を糾弾するため調べてるのか」 「いや、それが目的ではなくて」 「そんな事は止めた方がいい 俺は昨日駐在所に引きずり込まれたんだ」 愛美は怖い目で彼を睨んだ 「だから見過ごしにしろと言うんですか」 「俺は話せないが切実な事情で被害者の氏名を求めている 君のような世直し気どりとは違うんだ そんな気持ちなら君とは一緒に行動できない」 「私もあなたのような自分さえ良ければいい人間とは協力できません じゃあ」 二人は顔を背けて両方に別れて歩き出した 彼がしばらく歩いて振り向くと愛美はいなかった 彼は呟いた 「早足にしても、走ったにしても、よほど怒ったんだろうな 一緒の空気を吸うのも嫌と言う嫌われ方だな まあ、俺の言い方も身も蓋もなかったし、しかし彼女と組んだら警察を敵に回す事になる 今は俺に憑いた男を成仏させるだけで手一杯で、それに元々警察を敵に廻す度胸なんてあるわけない 」
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