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父親は聞いた
「どうゆう事だ
母親に親権がないなんて」
息子が言った
「あーちゃんは特別養子手続きを取られたらしい」
父親は彼に聞いた
「弁護士さんなんですか?
その特別ってのは」
「養子手続きですが
普通の養子と違い実親との関係が完全に切れます」
「そんな物があるんですか」
「虐待や子供を育てる能力のない親から子供を守ると言う目的で、ごく幼少の時に認められています」
息子は言った
「あーちゃんを連れて逃げても、雄二郎さんにも奥さんにも親権がない、だから あーちゃんが就学年齢になると自分の無力さを感じてしまい、トラブルを起こした事で覚悟がついたんだろう」
父親は感慨深く言った
「そうか、幼い娘のために母親は必要だからな
それで自分だけ身を引いたのか
わかるな」
彼は話を聞いてるうちに洞口雄二郎の気持ちがうたれて行った
同時に、どれだけ娘を見守りたかったか思い洞口の恨みの深さを感じて戦慄した。
そして確信した
『この洞口雄二郎と言う人が、俺が見殺しにしたあの中年に間違いない』
彼は二人に礼を言うと車に戻った
車に戻る時あの暴行現場に立ち寄り、丁寧に名前を言って拝んだ
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