破滅への課題

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「別にカンカンならさなくてもいいさ 大きな音である必要はない やれるな」 「やるしかないでしょう 一国も早く家族の元に帰りたい」 「そう言う事は心の中にしまっておけ」 「すいません しかし一つだけお聞きしたいんです」 「なんだ?」 「洞口さんは何故私に取り憑いたんでしょう 洞口さんにとって一番憎むべき相手は呪うべき相手は、殺した男じゃないんですか」 「確かにそうだ ちょっと外へ出ないか?」 二人は外へ出た 名高は外柵の所へ行き遠くを指差した 「あそこに、カニ道楽の支店があるんだ カニ道楽と言えば覚えてないか?」 「何をですか?」 「阪神タイガースの二十一年ぶりの総合優勝だ 1985年監督吉田義男」 「ええ、凄い盛り上がりでしたね そうだ、あの時カニ道楽の」 「そう、よじ登って看板をぶっこわした奴がいた」 「道頓堀川に飛びこんだ奴もいましたよね 、あの川はとても飛び込める川じゃない」 「川に飛び込むのはともかく、看板を壊すなんて尋常じゃない カニ道楽は客商売だから宣伝費と考えて訴えなかっただろうが許される行為じゃない 勿論壊した本人だってカニ道楽が訴えないだろうなんて考えちゃいなかったろう
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