破滅への課題

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最近生活苦から新幹線で焼身自殺した奴がいる その人は普通の良識のある人で特定の政治思想があったわけじゃない そして普通の人間が考えた場合時速二百キロ近い電車の中焼身自殺をしたら、どんな事になるかわかるはずだ 現に巻き添えで人が死んだ 何の罪もない人がだ あの犯人の怒りは社会に対しての物であり、JRに対しての物ではなかった ところが怒りの矛先は官庁でも国会でもなく、単なる乗り物に向けられた そしてその攻撃はこの上なく無慈悲で理不尽だ 人間は特別興奮の中では攻撃対象を誤る まして人としての枷が取れてしまった霊であれば余計その傾向は強くなる とにかく今洞口さんが恨みに思ってるのは殺した真犯人ではなく見捨てた君なんだ 君への恨みが癒えた時、洞口さんは成仏するか、本当の恨みの対象に攻撃を加えるか、それは不明だ しかし少なくとも君からは離れてくれるだろう もっとも、これも彼が悪霊化する前にけりをつけなければならない」 「もし悪霊化すると」 「悪霊には理論と知性がない 霊は悪霊化すると、何故自分が恨んでるかわからなくなり、恨みだけが増殖する 成仏させる事はかなり困難になる 癒やすべき心がなくなるのだ」
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