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車は夜の街道を走り続けた
大半は見知らぬ道だった
音声ナビゲーションは全くなかったが曲がる場所に来ると、ハンドルに修正がかかり誤った選択は出来なかった
それは同時に目的地までは逃れられない事を示していた
一時間ぐらい走っただろうか
車はある住宅地に入って行った
閑静な雰囲気の住宅地であり、高級住宅地である事は真っ暗な中に灯るヘッドライトの明かりでも容易に判明した。
車はその中でもひときわ大きな邸宅の敷地の外周をおおきなコンクリート塀に沿って走った
その邸宅の敷地は都内とは思えないほど広く、塀の周囲には巨木が植え付けられ中の様子はわからなかったが民家である事は、なんとなく雰囲気でわかったが工場や会社の敷地と言われても納得出来るほどの広さだった
車はその敷地を半周するように走ると大きな和風の門の前に止まった。
そして突然運転席のドアが開いた。
『降りろと言うのか』
彼は従った
無言の威圧感のような物を感じていたのだ。
目の前に大きな門があった
その美観から門灯をつけるにはふさわしくないのだろうか、門は暗く浮き立っていた
その日は月明かりも星明かりも鮮明ではなく、目が闇になれるのを待つしかなかった
しかししばらくすると門横の塀の上に装備された臨時の門灯が点灯した。
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