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しかし簡単に老婦人は従わなかった
「でも門の隙間から車のライトのような光が
やはり誰かいるんじゃないの」
彼の車はヘッドライトをつけっぱなしだった
彼は観念して答えようとしたが、どうしても言葉が出なかった
澄子の声がした
それは悲鳴に近かった
「奥様おやめ下さい」
「ちょっと道路を見るだけよ」
彼は心臓がどきどきした
しかし不安だらけでもあった
きっと何を話そうと老婦人は冷たい疑惑の目で自分を見るだろう
しかしその一方で、それをやり過ごせば、何か大きな展開があるのではないかと思えてならなかった。
ドアの鍵を外す音がした
門の横の小さなドアを開けるつもりらしい
ドアノブに手がかかる音がした
その途端閉まっていた運転席のドアがあき彼は強力に運転席に引っ張り込まれエンジンがかかり車がもーぜんとスタートとして走り出した
彼は思わず振り落とされるのではないかとさえ思った。
車の支配を取り戻してから彼は思わず言った
「洞口さん、あなた一体何を考えてるんですか」
洞口からはなんの反応もなかった。
翌朝出社した彼に社長から呼び出しがあった
『まさか無断欠勤がバレたのでは、』
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