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相手は経団連の会員で、国家プロジェクトには必ず委員として名を連ねる、総務大臣候補にまで下馬評に出た男である
彼はノックをして言った
「システムテクノロジー本部田中補佐です、お呼びにより伺いました」
静かな声が帰って来た
「ご苦労様
入ってくれたまえ」
彼は初めて社長室に入った
社長室は予想以上に狭く、シンプルだった
実はこの社長室については何故か社員の中で噂になっていた
話題になったのはその狭さと他の役員室にはある応接セットがないのである
応接セットどころか社長の座っている椅子以外椅子がない
そのため役員が個々へ報告しに来ると最初から終わりまで立ったまま報告しなければならない
これはナンバー2の専務でもそうだから、この部屋では、はっきり上下関係が現れる
まさに唯我独尊である
そのため社員達は社長室を独裁者の部屋と呼んでうわさしていたのである
まさにカリスマ経営者にふさわしい部屋とも言えた
部屋の構造はドアを入ると長方形の間取りになっていて、そのどん詰まりに社長の机がある
その背後には最上級のセンターがガラスのついたてがあり、向かって右側は書庫、左側はパソコンとモニターがあった。
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