破滅への課題

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それを聞いて慶次郎は取り繕うように笑った そして言った 「急に用事を思い出しまして また何かありましたら微力ながらお助けしたいと思います 慶次郎はそう言いながらも少女の方は見もしなかった 慶次郎はドアを閉めた 少女は女性に言った 「どうしたのおじさん」 母親は言った 「さあ、どうしたのかしらね ママにもわかんない」 二人は連れだって帰って行った 慶次郎は、ドアの反対側に寄りかかって荒い息をしていた 「どうしたんだ 今までここまではなかったのに」 慶次郎はヨロヨロと和室の方へ行きベランダに降りた 下を見るとB棟に向かうあの親子連れの姿が見えた 慶次郎は視線を何故か上の方に移した 慶次郎の視線はあの親子の部屋のベランダで止まった ベランダには華やかな下着が干してあった 慶次郎は言った 「これ見よがしに、あんな下着を干して怖い思いをしたくないもないもんだ」 その時慶次郎は何か閃いたような顔になった 霊道を開く儀式に取りかかって2日目 彼は困難にぶつかった 彼の階の向かえのサラリーマン家庭で夫婦喧嘩が起きて亭主が外へ閉め出されてしまったのだ 夜の10時頃からドアの外で亭主は中に入れて欲しいと懇願している しかし女房はドアを開けない 結局12時を回ってしまい 彼はその日の儀式を取りやめた
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