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鬼岩は言った
「こええよ、小便ちびり過ぎでおむつが欲しいくらいだ
あの男が本気で動けば僻地へ飛ばされるぐらいじゃすまない
階級も下げられて
片田舎の警察署長
はたまた、なんの力もないどこかの県警の庶務課長にでも飛ばされるかもしれない」
「それじゃあ、なんで逆らおうとするんですか」
「それは親父の執念
いや親父の呪いなのかも知れない」
「首席のお父さんの 」
「俺達親子の話を聞くか
聞かないなら次席を外してやる
望むなら監察官からも解放して、管区内県警の理事官にでも推薦してやるよ
俺だって、そのぐらいの力はある
しかし聞いたなら一緒に地獄に落ちてもらう」
そう言われて大野は沈黙した
鬼岩は、ハーザードをつけた
重苦しい空気が二人の間に流れた
鬼岩はタバコをくゆらした
大野は漠然と走り去る車を見ていた
ハザードランプの音が鳴り響いた
しばらくしてから鬼岩があきらめたように言った
「次席、嫁さん妊娠したそうだな
おめでとう」
鬼岩はウインカーを出しハザードを消した
鬼岩が車を出そうとした時大野が止めた
「待って下さい」
「えっ?」
「聞こえませんか」
「何が」
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