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彼にとって犯人が自分の事を知ってしまっていると言うのは何よりも脅威だ
しかし名高は安全なような事を言ったが、それを名高が保証してくれるわけではない
警察に事情を話して保護を求める事は出来るがしかしそれには自分が冷酷に洞口さんを見捨てた事を話さなければならないだろう
今更それを話す事は気分的にも嫌だし、それに警察やマスコミや世間の目を考えると、どうしても積極的になれなかった。
しかし正体不明の犯人がどこかで自分や家族
彼は恐怖は急に倍増した。
『犯人が、まず家族を第一目標に定めたら』
妻は霊現象はともかく事件の事は全く知らないし、話す勇気はない
娘は何一つ知らない
全くの無防備じゃないか
名高さんは霊的には守ってくれると言ったが、犯人からは守ってくれないだろう
警察にも説明出来ない彼は悩んだ挙げ句遂にある男を頼る事にした
もう二度と会わないと決めた男だった
しかし、今はもうあの男しか頼れない
少なくともあの男なら全てを話す事が出来る
その男の名は兵部航
彼は兵部の探偵事務所に連絡を取った
秘書が出て来たので連絡先の電話番号を言った
電話を返して来るかどうかわからなかった
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