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繰り上げるべきなのに、何故か外から取ると言うんです」
「何故」
「ここのポストは警視正以上ですけど警視正以上は地方警務官だから警視総監には任命権がない
東京都の公安委員会の任命が必要ですが、事実上は警察庁の長官官房の推薦じゃないですか」
「その推薦を難癖つけて出して来ないのか」
「出さない気はないんですが
そのかわりにある人間を推薦して来たんです、警視正になりたての、それも人事総括企画官の推薦も入れて」
「ちょっと待て、総括企画官はルーキー担当だろうが
ベテランの人事に首を突っ込むなんて」
「ダミーだって事じゃないでしょうか」
「その後ろにもっと大物がいると言う事か」
「それで、その推薦を受ける男ですが
F署つまりあの連続殺人の管轄警察の署長ですよ」
「そうかでかした
やはり一枚かんでやがったな
そのご褒美は警視正の階級と警視庁の泥棒取り締まりの親玉の地位か
えぐい野郎だ」
「あの事件を再調査します」
「頼むぞ、しかし慶次郎は凶暴だ
まわりには気をつけろよ」
「ありがとうございます」
兵部は名高を突然訪ねた
名高の事務所兼居宅の玄関で兵部はチャイムを押した
中から名高の声がした
「どうぞ、開いてます」
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