ストーカー

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ドアを開けて中に入ると名高はにこやかに言った 「陰陽師賀茂流名高敦郎です 何か御依頼でしょうか あなたは見た事あるな 有名な探偵さんですね」 名高の部屋は綺麗に片付いていてオフィスらしくなっていた それは名高の金回りも良くなったのだろうが名高の覚悟も表していた 兵部は、名高に名刺を渡した 「申し遅れました 私兵部航と言う探偵です」 名高は名刺を受け取ると名刺をクンクンと鼻で嗅いだ そして言った 「探偵さんが私に用と言うと、人探し 良縁奇縁、商売繁盛 家内安全」 「そのような事もなさるんですか」 「陰陽師や陰陽寮は元々そうですよ ただし相手は貴人でしたけど」 「あの、私の名刺何か匂いますか」 「いや、少し血の匂いが」 「ええ!」 「探偵ってのは、そんな血なまぐさい仕事なんですか?」 「いや、そんなバカな」 「良く昔から血で名を汚すって言うでしょう 名前は血で汚れるんです だから血で汚れた人の名刺は血の匂いがします あなたの名刺からは、そう血煙の匂いと硝煙の匂いもします」 兵部は顔面蒼白になった 傭兵の過去があるからだ あの事件のあと兵部は良心の呵責にさいなまれ何度か自殺を
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