ストーカー

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兵部は封筒を取ってしまい込もうとした 『しまった、ガードマンが不審がる』 兵部は顔を手で覆った 『落ち着け 遺書に俺達の事は書いてないかも 島田さんだって、俺達を疑ってるとは いや、島田さんは俺達に薄々気づいている だから、うちのビルから飛び降りたんだ』 兵部は息を大きく吸って手紙を丁寧に開いた 興奮しているので頭に入らず何度も読み返した そしてほっと息をついた 理由はわからないがその事については一言も触れていなかった しかし兵部は、なにか嫌な物を感じた その時兵部のケータイが着信した 相手は田中だった 兵部は思った 田中はかなり動揺しているはずだ もしあらぬことを警察官の前で口走ったら 兵部は電話を取った 案の定田中は動揺している様子だった 田中は震える声で言った 「兵部君、島田さん島田さんが なんて事になっちまったんだ こんな事になるなんて 俺はもう耐えられない」 兵部は言った 「落ち着け いいか、やけを起こすんじゃないぞ どこにいる今」 「どこにいるって」 兵部は怒鳴った 「ビルの中か外か」
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