ストーカー

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兵部は田中を必死に追った 運のいい事に救急車が到着し、拡声器で人を散らせてくれた お陰で兵部は田中に追いつく事が出来た 兵部は田中の胸ぐらを掴んだ 「何やってるんだおい」 田中は目が覚めたような顔になった 「あっ俺は一体何をやってるんだ」 「とにかく正気に戻って良かった 早くここから離れよう」 「いったい俺は ここはどこだ」 「君は現場に向かってるんだ 一時的に正常さを欠いて さあ、早く」 「いや、やはり顔ぐらい見てやらねば」 「何を言ってる」 二人はもみ合いになった その時前方から声がした 救急隊員の声だった 島田の遺体を運びだして来たのである 「道をあけて下さい 道をあけて下さい」 ガラガラとストレッチャーの音がアスファルトに鳴り響いた 驚いて道をあける人々の群れ 田中だけが近づこうとする 必死にそれを抑えようとする兵部であった。 その時風もないのに、否ストレッチャーの振動のせいである事は充分考えられるのであるが 島田の顔に乗せられていた白い布が下に落ちた その時ストレッチャーの振動のせいだと考えられるが、肉も骨もグチャグチャになった島田の顔が
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