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こちらを向いた
同時に黒目の一つが同じ方向に動いた
それは偶然なのかもしれなかった
しかし二人には、島田が今にも起きて襲いかかって来るような緊迫感があった
田中は思わず悲鳴を上げそうになった
しかし冷静な兵部が田中の口をふさいだ。
救急隊員は、気がついて布を拾って島田の顔にかけた
救急隊員を含め、他の野次馬からは、単なるアクシデントにしか見えなかったようだ
しかし二人は違う、特に田中の狼狽はひどかった
兵部は田中の口にハンカチを突っ込んでひきづるようにして近くの小公園のトイレへ連れこんだ
トイレの中に入ると兵部は田中の口のハンカチをはずした
田中はしばらく荒い息をしていた
兵部はトイレの出入り口から辺りに人影がいない事を確かめて洗面所でハンカチを洗って田中に差し出した
「冷たい水で顔をふけば気持ちが少しは落ちつくはずだ」
しかし田中はガタガタ震えていた
ほとんど目は虚ろだった
「俺達は島田さんに呪い殺される
もうおしまいだ」
田中は両手で顔を覆った
しかし兵部は落ちついていた
「俺は元警察官だから知ってるんだが
死んだ後人間の身体が動くのは、まれだがあるんだ」
「しかしこっちに顔を向けて睨んだんだぞ」
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