その男見殺ししたにつき

ストーカー

「しかし俺ほど切羽詰まった状況ではなかった」

「それは本人しかわからないが、だとしても君が全ての責任を追う筋合いはなかったはずだ

いや、負わすべきではない

田中君には、人としてかけてる部分があるとはおもわないか

もし、彼がその事を真剣に反省してるなら、今度の問題も起こさなかったはずだ

兵部は不機嫌そうな顔で言った

「名高さん、あなたがいくら霊能者でも、田中君の人となりは付き合ってなければわからないんじゃないでしょうか

自分は田中君があの時、自分の言った通りにしてくれた事で気持ちがずいぶん楽になりました

田中君には感謝していますが、恨みに思った事はありません

それにもし田中君が少しでも私を利用しようと言う気持ちがあったなら

私のこの長い時間が無駄になるでしょう

そんな事考えたくもない」

「いや、無駄にはならない

何故なら君は一人成仏させたからだ」

兵部は驚いて名高を見た

「誰を

まさか」

「君には、島田さんの霊がついてたんだ」

「ええ、」

「ついていたんだ

もういない

君が真剣に悔いている姿を見て、島田さんは癒されて成仏なされた

君が何度も自殺に失敗したのも、危険の中で生きてこられたのも、島田さんの加護によるものだ