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「肝に銘じておきましょう、では失礼します」
帰ろうとした兵部に名高が声を掛けた
「友情と言う奴ですか、私には、そう言う人がいなくてね」
「希望ですよ」
「希望」
「私は人生を全うできそうもない
だから、人生を乗り越えられ田中君には、私の残りの人生を生き抜いて欲しいんです
人は自分の人生を他人に託す事が出来るんです
私はそう言う形でしか神に与えられた人生を全う出来ないよう自らを変えてしまったんです」
名高はそれ以上何も言えなかった。
都心から少し離れた場所にある心療内科のオフィスで、慶次郎は同年輩の医師と会話をしていた
診察室は南側の窓辺 に診察机があり、東側に長椅子があり、机の上にはパソコンとモニターが置いてあるシンプルな部屋であった
慶次郎と医師は古くからの顔なじみであり、親しそうな雰囲気が漂っていたが、突然慶次郎が顔色を変えた
そして言った
「心臓神経症」
医師は言った
「おそらく君の正式な病名はそれで間違いないだろう」
「それはストレスから来る」
「察しがいいな
いわゆる過労死の原因になるのが、これだと言われている
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