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「しかし愛実は、あの現場にこだわるんだろう
捜査報道の匿名性を問題視しているせいなのか
それにしても、東京に本拠地のある会社勤めなのに、何故いつもあそこに
もしかしたら、あの周辺に住んでるのかな」
彼は思わず周りを見た
誰一人いない会社の屋上で電話を掛けていたのに視線を感じたからだ
その後彼は視線を乗っ取られるようになり、屋上のある場所に固定された
それはかつて島田氏が飛び降りた場所だった
彼は驚いて階段の踊場まで逃げた
彼ははーはー息を整えて言った
「もう、長い間一人で屋上に来る事はなかったのに、どんな事情でも屋上だけは避けるべきだった」
鬼岩は机に足を乗せた状態で考え事をしていた
別に意図してやってるわけではないが、考えごとをすると時々行儀が悪い鬼岩であった
ノックの音がした
「はい、どなたですか」
「部長、ご指示を受けた調査が終了しましたので報告に参りました
入ってよろしいでしょうか」
「村田君か、待ってた」
鬼岩は急いで机から足を下ろした
監察官の村田は入室の時敬礼した
村田の階級は警部
年齢は三十歳大卒準キャリアだ
監察官は職業柄他の部署のように階級の低い者はいない
警視庁の捜査一課なみの階級の警察官が大半である
だから年齢の若い監察官はキャリアか準キャリアで学歴は四年生の旧帝大が多いエリート集団だ
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