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あの事件の後彼は会社での出世をあきらめたが、だからと言って今の地位は維持したいと言う気持ちが強かった
だから本来から考えれば、こんな事に巻き込まれるのは御免のはずだが、何故か操られるように彼は目的地に向かった
それは単に愛美に対しての特別な感情が本人の潜在意識の中で芽生えて来たと言うような事ではなく、誰かに、もっと大きな何かに操られていたのだ。
彼は目的地に車を止めた
愛美はいなかった
もしかしたら、洞口の暴行現場に行ったのかも知れないと彼は思った
彼は駐車違反を気にしながら、その場所に車を置いて洞口の暴行現場に向かった
しかしその場所にもいなかった
『まさか俺をからかったのか』
嫌な気持ちが彼を襲った
ドラマで見た事がある
若い娘が中年男を振り回す
そしてその挙げ句に、その娘のボーイフレンドにボコボコにされるのだ
自分がそんな目に会うんじゃないか
そんな嫌な予感が彼をさいなんだ
このまま帰ってしまおうかと彼は何度も思った
早く帰る事が自分のプライドを傷つけない唯一の方法だった
心の中に妻子を裏切ってるのではないかと言う罪悪感も芽生え始めていた。
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