ストーカー

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「あれからたった五分か、一時間たったような気がした」 その時着信があった 彼は表示を見ずに電話を取った 「愛美さんか」 「愛美さん」 その声は兵部だった 彼は慌ててつくろった 「いや、仕事の関係だ、マナミーサンと言うアパレル企業に搬入する話が」 「そこまで俺に説明はいらない」 「そりゃあそうだが、ところで急になんだ まさか家族に」 「いやそれはないが」 「じゃあ後にしてくれないか、今立て込んでいる」 「すまなかった」 「じゃあ切るぞ」 彼は電話を切った。 「なんだろうか 少し気になるが」 その時突然彼は不安にさいなまれた 『おかしい、まさか犯人におそわれたと言う事は』 その時思ったのは、妻子の事ではなく愛美の事だった 犯人は現場を嗅ぎ回る愛美をうっとおしいと思ってるに違いない まさか、愛美はやられてしまったんじゃないだろうか 彼は思わず大声で叫んだ 「愛美さん」 その声で周りの通行人が振り向く程だった。 彼は心配でいても立ってもいられなくなったが、何も出来なかった。 後悔だけが彼をさいなんだ 『俺のせいだ 心霊現象の事だけ頭にあって、愛美の事を考えてる余裕がなかった』
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