ストーカー

61/95
前へ
/709ページ
次へ
彼女の抱える有能な弁護士の中には金のためなら法律なんか、どうにでも利用できるリーガルハイの弁護士みたいな男がうようよいるんだろう 彼はパンドラの箱を開けた愚かさを後悔した しかしビジネスならともかく、この事は引き下がるわけには行かなかった 彼は勇気を振り絞って言った 「奥様は、何かご用で、こちらへ」 それを聞いて北条夫人突然顔色を変えた 自分は散々他人の事情を聞いたのに、ちょっと聞いただけで、この変わりようだ。 だから資産家ってのは 彼は腹を立てたが相手は実力者だ なだめなければまずい事になる しかしここで彼はなだめるどころか、より相手を挑発する行動にでた その理由は彼にもわからなかった 深層心理の中に、突っ込まなければならないと言うような感情があったせいだと思う 彼は言った 「ここは事件現場です 何かそれについてご存知ですか」 これは質問ではなく、相手の腹を探るための問いかけだ 夫人は言った 「少しお行儀がなっていませんわね あなたと私は初対面とほとんど変わらないでしょう」 彼は慌てて謝った やはり少しやりすぎてしまった ここは逃げるしかない、下手な言い訳は余計話をこじれさす
/709ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加