ストーカー

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彼はとにかく平謝りに謝った 土下座寸前と言うほど頭を低くし何度もペコペコした。 「申し訳ありません 平にご容赦を」 彼はそう言うと逃げるように、その場を去ろうとした その後ろ姿に北条夫人が声をかけた 「お待ちなさい ここへ」 彼は言われるままに北条夫人の前に言った 北条夫人は現場にしゃがむと線香を出して一束彼に渡した そして言った 「何かの縁です あなたも拝んでやって下さい ここはあなたの部屋の前の住人北条綾の死んだ場所です」 「ええ?」 彼は驚いてみせた 知っていると理由を追求されるからだ 北条夫人は言った 「これから言う事はあなたの胸だけにしまっておいて下さい」 「わかりました他言しません」 「あの子は、ここで殺害されたんです 通り魔に」 彼はまた一芝居した 「通り魔に、なんて事だ、なんの罪もないのに」 北条夫人は、通り魔説を信じてるようだ もし、この人が通り魔説を信じていなければ所轄はこの人の派遣して来る弁護士により混乱するだろう 彼はそう思ったが少し疑問を感じて北条夫人を挑発した 「奥様、通り魔と言うのは間違いないのでしょうか」 「どう言う意味でしょうか」 「いや昨今は通り魔に見せかけた顔見知りの犯行と言うのも視野におかないと」
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