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この時点では真犯人を知っているのは名高と鬼岩と、その腹心だけだ(鬼岩達は疑いに過ぎないが)
彼も真犯人はわかっていない
もっぱらそれでも北条夫人を揺さぶってるのは、北条夫人が事件の解明に対して積極的でない何かを感じたからである
北条夫人が本気で政治家や弁護士を使い所轄に活を入れれば、全く展開が違ってくるはずだ
それほどの権力をこの人は持っているのだ。
なのに大事な孫娘が殺されたのに、まるで権力を持たない普通の老婆のように嘆いてるだけは、おかしい
彼の言い方に少しうるさそうに、それでも北条夫人は答えてくれた
「あの子は他人に恨まれるような、まして殺されるような娘ではありません」
彼はそれでも食い下がった
「しかし逆恨みと言う事もあります
ストーカーと言う事もあります」
北条夫人は線香を現場に立てながら言った
「よほどあなたは暇なんですね
アカの他人の事に、これほど首を突っ込んで来るとは」
しかし彼は引き下がらなかった
彼は預かった線香を、その横に立てた
「あなたは実力者だ
力がある、今力を尽くさないと後悔するんじゃないですか」
北条夫人はバックからチャッカマンを出し点火して
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