見殺し

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街化している状態だった その店はそんな商店街にひっそりと佇むように立っていた 間口は五メートルぐらいである。 洒落たインド風のドアを開けて入ると、すぐカウンター席となる、奥行きもあまりない店である カウンターの中ではアルバイトの短大生と店とバーテンがいる 店の奥まった所には映像カラオケとステージがあり、そのステージの上には店の名前であるマハラジャと言う青い電飾が少しケバメに光っている 彼はバーテンと女の子に軽く挨拶するといつもの席に座って軽くハイボールを煽った その時バーテンが皮肉を言った 「耕三さん、車なんでしょう、厄介な事になりませんか?」 「大丈夫だよ、代行呼ぶから」 「でも、この前は振り切って、そのまま乗ってちゃったじゃないですか」 「そんな事もあったかな 忘れた とにかく飲ませてよ酔いたい気分なんだ」 彼はバーテンをやりこめるようにして酒を飲んだ そして泥酔してそのままカウンターに顔をうづめて寝てしまった。 微睡みの中で彼は昔の記憶を辿っていた。 しかし彼にとって有り難い記憶ではない しかしそれでも彼の意識はその記憶を探していた
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