ストーカー

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綾は必ず友人を屋敷に招待して私に紹介してくれるのに」 「最近知り合った方じゃないでしょうか」 「どんな方ですか ?」 「二十代前半の美しい女性です 名前は唐沢愛美」 「今なんておっしゃいました」 「二十代前半」 北条夫人は苛立つように言った 「名前です」 「はい、唐沢愛美さん」 北条夫人の顔から血の気が引いた 「どうなさいましたか 奥様」 「そんなバカな その子はあなたをからかってるんです 悪質だわ どんな女性なの」 「はい、長身で痩せ型、セミロングで、頭が小さくて、額が半分ぐらいもあり、目が大きい愛らしい少女のような女性です」 彼は今やすぐ浮かんで来る愛美の特徴をスラスラしゃべった 途端に北条夫人はガタガタと震えだした。 「そんなバカな まさかそんな」 北条夫人は立ちくらみをしてよろけた 彼は体を支えようと近寄った 「奥様大丈夫ですか 少し座って休まれたら」 北条夫人はいきなり鋭い目を彼に向けた 「あなた、何か魂胆があるのね 何を企んでいるの」 「えっ企む、滅相もないです」 企むと言う意味では当たっているのかもしれない、しかし北条夫人に危害を加えようなんて考えてもいない
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