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彼は誤解を解こうとしたが北条夫人は切れてしまい、とりつくしまがなかった。
北条夫人は突然運転手を呼んだ
「斎藤、斎藤」
背広姿の運転手がどこからか飛んで来た
「奥様」
北条夫人は彼を突き飛ばすようにして運転手に頼った
「帰ります」
北条夫人は運転手に体を支えられて、どこかへ去って行った
彼は何が何だかわからないまま、ただ気まずい苦い物だけが残った
「まあ、仕方ない
会社に苦情が来ても呪い殺されるよりましだ
突然彼は思い出した
「あっ愛美さん」
彼は周りをキョロキョロ見た
夫人と話しているのを愛美が見て遠慮している可能性があるからだ。
しかしどこにも愛美はいなかった。
彼はがっかりした
それでもあきらめきれずに彼は、ケータイの着信履歴を調べて見た
しかし非通知発信はあれから一つもなかった
彼は大きなため息を一つついた
愛美がからかったとは思いたくないが、もうあきらめよう
彼は車に乗りかけた
座席についてハンドルを握った
イグニッションキーを挿してエンジンをかければ、もう愛美との間は切れるだろう
いや、とっくに切れてるのかもしれない
その時、再びあの不安が頭に浮かんで来た
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