69人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は後ろを見た
こちら側はほとんど道がないはずなのに、愛美がにこやかに立っていた。
その日の愛美は薄手のピンク色のワンピースの上にチェックのジャケットを着て赤いハイヒールをはいていた。
愛美は小走りに走って来た
そして言った
「あーやっと会えた
もう何年もあってないみたい
寂しかった」
まるで恋人か愛人のようないい方に、彼はびっくりした
いくら冗談にしても、なんで女性と言うのは、こんな危ない言葉を口にするんだろう
それも、商売女ではなく、こんな清純そうな娘が
彼はどきどきして心臓の鼓動が止まらなかったが、それは大変ここち良い物だった。
近づいて来ると愛美は綺麗な手を差し出した
エスコートしろと言う意味なのかと彼は思った
それにしても白魚のような指だ
彼は恐る恐る手を出し握りあった。
「痛い」
「あっすいません」
愛美は恨めしそうに彼を睨み片手をバタバタした。
彼は言い訳した
「すいません、空手やってるんで」
「へえ、そうなんだ
見かけによらず」
愛美は彼のまわりをぐるぐる回った
彼は恥ずかしいような、何とも言えないような気持ちだった
愛美は再び手を出して来た
最初のコメントを投稿しよう!