見殺し

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夢の中で誰かが彼にかたりかけた 誰か、もちろん彼はそれを知っている 夢の中の彼は、その男と会話している その時のやりとりだけが頭に蘇って来た 『早く決めろ、いつまで躊躇してるんだ』 『しかしこんな事許されるわけ』 『そんな事言ってる余裕ないだろう 俺達はここの契約を取れなきゃリストラだ』 『しかし島田さんはどうなるんだ』 『今ライバル社の話をするな それに島田さんはS社のエースじゃないか俺達のようなバブル入社組と違い、簡単にはリストラされない わかったよ、無理を言って、俺が捨ててくる、車に運ぶのだけ手伝ってくれ 早くしないと守衛が来るぞ』 彼の記憶は別の場所に飛んだ そこはオフィス街の路上だった。
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