見殺し

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上からそれを足蹴にした もう一人が注意した 「おい止めろよ」 もう一人が止めたが止めようとしない 女の子は混乱して彼を起こしに来た 「田中さん、おきて下さい」 それでも彼は狸寝入りだった バーテンは無抵抗で耐えていたが言った 「客に頼るな、警察だ」 女の子はケータイを出して通報しようとした もう一人が女の子を襲った 「おい、何するつもりだ」 女の子と男はケータイを取り合ってもみ合いになった その時男の腕が逆に取られた 女の子は尊敬の目で言った 「田中さん」 「この隙に早く電話しろ」 一代でコンピュータービジネスを起業し、この世界に、その名をとどろかせた男は、この連休を利用して始まりの地を訪れていた。 そしてかつて自分と仲間達が日常生活用品を購入し、仕事の疲れを癒やした商店街に高級外車で向かっていた 白い髪を染めず年齢の割りには老けた感じのカリスマ社長は車の後部座席から、商店街のシャッターを見ながら辛そうに言った 「ここも、変わったな」 社長がそう言うと、かつての仲間で今は秘書室長と言う重職にある男が答えた 「かつての活気は
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