見殺し

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「えっどうゆう事ですか?」 「私は伝えるだけですから」 彼はやむなく最上階フロアーの下の秘書室長補佐の所へ向かった 室長補佐、秘書室長が重役待遇のため役員会の出席が多く多忙のため事実上秘書室を束ねる男 広川太郎 あだ名は鬼太郎 風貌がねこなでの主人公鬼塚汰朗を演じたテレビ版俳優に似ているからだが他説もある 東大法学部法律学科出身 旧司法試験合格 会計税務、労務管理の各資格を全て持っていて社の総合職では首席合格 銀行の介入が強く、サラリーマンからの重役が困難なこの会社で間違えなく重役になると言われてる男 年齢四十五才 彼はその名を聞いた途端、どうやら良い話でない事にやっと気がついた 彼は恐る恐る秘書室長補佐の部屋をノックした。 「補佐、関東西部の田中です」 「入ってくれ」 彼が部屋に入ると補佐は外を見ていたが一斉ブラインドを閉めて電気をつけ、真ん中にあるデスクについた 補佐は言った 「座ってくれ」 「失礼します」 「ところで君は喧嘩がかなり強いそうだな」 「な、なんでしょうか」 室長補佐はデスクから封筒を出し、その中身をテーブルにぶちまけた あの時の乱闘の写真が数枚に及んで写っていた
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