見殺し

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「何かいいたい事はあるかね」 彼は懲罰諮問をされている事に今きがついた 不可抗力だと反論すべきだろうか? しかし確かにムシャクシャしていた事は事実だった 喧嘩したかったのかもしれない 補佐は冷酷に言った 「反省はしているようだな なら、これで終わりにしてやろう」 彼は辞職勧告が来る事を覚悟した どうしようか? 御用組合でも労組に相談すべきか、管理職でも労働者だ 労基に訴えるか? 裁判に訴えるか 何よりも家族になんと説明しよう 彼は力なく立ち上がった。 ふらっと外へ出ようとした彼に補佐が言った 「これを持って行きたまえ」 「これは(早速辞職勧告か)」 「始末書だよ、我が社は警察を含めた諸官庁に監視カメラを導入しているシェアを誇っている だから君の行動がマスコミにでも発覚すると大きくビジネスに響く 君をクビにしようと主張する人事委員も多かった しかし私が、この問題で社員の首を切るのは労働法上問題が生じる上、社長からも聖地で起きた事なので、あの商店街の動揺を心配して、穏便にすませと言う鶴の一言があり、赴任期間の二年延長で許して貰える事になった
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