見殺し

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ペナルティーを課された彼は今まで以上に粉骨砕身し、出張所の営業実績に貢献した、彼のトラブルを知っている商店街の人達も近くの自治会や町内会に口を利いてくれた事もあり その地区の彼の社の監視カメラの営業シェアは揺るぎない物となった これほど頑張れたのは、商店街の人々から社長が頻繁に訪れていると言う情報が入ってたからだった 社長は自分へ制裁を負い目に思い、もしかしたら勤務態度次第でビッグチャンス をくれるのではないかと彼は期待した そして遂に彼の待ちに待った物が彼の手に届いた 田中耕三○月○日を持って本社システムテクノロジー本部第三課長補佐に任ずる 『システムテクノロジー、第三課課長補佐、システムテクノロジー本部だと、夢がかなった」 システムテクノロジー本部は社長直属の精鋭エンジニア集団で、その第三課はセキュリティー商品の全てを統括している その三課長は、監視カメラは言うにおよばずサイバーテロに対するセキュリティー、果ては宇宙産業の各機器のセキュリティーまで扱う社でも花形中の花形部門だ ここの本部長からは何人も取締役が出ているのだ 彼は思った 『ざまあみろ、気が強いばかりのくそ女房め、お前の亭主は遂に
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