見殺し

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止まり木にしようと考えたのである ところがタクシーの後部座席にドカッと座った途端酔いがガンガン回って来た そんなに酒は飲んでいないが、急激な運動をしたせいで酒が身体に回ってしまったのである それからは飲み屋を探す所ではなかった 目は回るし吐き気はするし、挙げ句の果てには気を失ってしまった しばらくして運転手に彼は起こされた。 「お客さん起きて下さい その状態じゃお宅に戻った方がいいんじゃないですかね」 迷惑その物と言う顔で彼を起こした運転手を見て彼は大変ばつが悪かった。 彼は料金メーターを見た 一万を超えていた 「かなり遠くへ来たな ねっ、この辺飲み屋ないかな」 「いい加減にして下さいよ」 運転手と話しているうち急に吐き気が襲った彼は我慢出来ず運転手の顔に嘔吐してしまった タクシーの運転手は怒り狂って怒鳴った 「お客さん、ひどいよ、どうしてくれるの」 彼は恐れ入った。 彼は運転手の顔をハンカチで拭ったが運転手はハンカチをぶんどって窓から捨てて言った 「全く、今日はこれじゃあ稼ぎにならないよ、どうしてくれるの」 運転手は吐瀉物が飛び散った後部シートや後部
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