見殺し

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聞いた 「どちらまで」 「○○市の変電所の近くの大通りを」 運転手は後部ドアを閉めた そして言った 「あれ、接触わるいな、途中で開いちゃうと困るからお客さん悪いけど助手席乗って」 「えっ」 「早くして、出ますよ、高速のるんでしょ責任もてないよ」 そう言われれば彼だって従わざるを得なかった 運転手が乗客の安全を確保するための処置は許されるし、それに逆らえば乗せない自由も認められるはずだ 彼はとりあえず車外に出た。 そして助手席のドアをあけようとした その時運転手はクラクションを鳴らした 離れろと言うのだろう 「あれ、タクシーの助手席のドアって確か手動のはずじゃあ」 タクシーの運転手は助手席の方に手をのばしたが、突然アクセルをふかして車をスタートさせた 猛スピードで走り去るタクシーを見て彼は騙された事を知った 彼は怒髪天を突くほど怒った しかしタクシーはどんどん遠のく 「くそ、なめやがって、ナンバーだけは見失ってたまるか」 彼はもう然と走り出した ナンバーをひかえてタクシー会社に抗議するために しかし走り出した途端彼はバランスを失い転倒した。 そして
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