見殺し

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大きな都市計画の場合、換地の規模も大きく町内ごと移動してくる事もある、その時どうしても必要なのは公共施設だから、換地の場所には、郵便局などが移って来たり、作られたりするのだ そこで土地区画整理がらみの地区は、まだ更地ばかりの中に特定郵便局だけが立っていると言う状況が生まれる 彼は、ここにどんな街が出来るのかと考えながら土手沿いを歩いた。 いくら歩いても土手に登れそうな所はなかった しかし希望の光はさした 土手の下を通る索道(トンネル)が見えたのだ そのトンネルは小さいながら天井に照明があり、遠くからもその存在を確認出来た 彼は嬉しくて小走りでトンネルまで走った トンネルについた時なんとも言えない開放感を感じた しかし知らない場所だから油断は禁物だった 彼は慎重に中に入った トンネルは無理すれば車が行き来できるぐらいの広さがあった 全体をコンクリートで覆い、しっかりした四角い形のトンネルであった 彼は途中ある物に気がついた それは横に置いてある車であった 白塗りのワゴン車でいわゆるワンボックスと言う小型乗用車であるが、気になったのは、その屋根の部分に置いてある水筒である
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