見殺し

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その若者は酔っていて片手にはウイスキーの小瓶を握っていた。 彼は怒鳴った 「どうなさったんですか?」 男は彼をみると地獄に仏と言う顔で言った 「あなたでしたか どうしたも何もいきなり襲って来てジャンパーを剥いで踏みつけるんで、とめようとしたら切れてしまって」 「襲って来てジャンパーを剥いだ? 若い人落ち着いて下さい 私に事情を放して下さい その人を放して」 その若者は身長一メートル八十ぐらいで頭の小さい肩幅と胸幅のある男だった 身体はしっかり鍛えられ贅肉はなく、シャープな感じがした。 顔は照明が薄暗いので、はっきりしないが端正な顔に、はっきりした造作の大きい顔だった 薄手の大きめのサングラスをかけていたので、すっぴんはわからなかった 口には薄笑いを浮かべていた 若者は言った 「あんたには関係ない、怪我したくなきゃ引っ込んでろ」 彼はカチンと来たが気をおちつけた。 「とにかく暴力は止めろ その人を放しなさい」 「ふん腕づくで解放しな」 「なんだと」 彼は拳を固めた しかしその時二年前の事が頭に浮かんだ 若者は男の胸ぐらを掴んだ
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